スペインの白い家

 

スペインで生活したことのある方なら分かると思いますが、 スペイン人の時間感覚は日本人とすこし異なります。単なる時差の問題ではなく、たとえばスペイン人のお昼休みは午後2時頃から四時までにとることが一般的で、 お昼の十二時をまわってもレストランのほとんどはまだ準備中です。 食後に「シェスタ」とよばれる長い休憩時間をとるため午後にはお店のシャッターが下りている事もめずらしくありません。 さらに、お昼ご飯が遅い分、夕ご飯も九時過ぎからはじまるのが一般的。

ただしこれらの時間感覚も、あらかじめ二時間引いて 考えてみればすこし納得できるかもしれません。例えばスペインで正午十二時はまだ午前十時ですし、それなら店舗が準備中なのも納得。 夕食も午後九時をまだ七時だとおもえば、まあ、無難なところでしょう。ですからスペインに行く機会があれば、 普段の生活リズムから二時間引いて考えると、現地人の感覚にあわせてスムーズに行動ができるかもしれませんよ。

  

夕食が九時からはじまると聞くと、お腹がへるのではないかと少し心配になるかもしれませんが、 スペインには夕食前にバルをはしごして、小腹を満たすという風習があります。バルは英語でBAR、 つまり居酒屋にあたるものですが、居酒屋と訳してしまうと少しニュアンスが違います。バルは朝はコーヒー、 夜は「タパス」と呼ばれる小皿料理をつまみにお酒が飲める、いわばカフェと居酒屋が一緒になったような空間。 このバルが賑わうのは夜。スペインでは夕食を午後9時から11時と遅い時間にとるのが普通ですので、 さすがのスペイン人も夕食前には小腹がすきます。そこで、夕食までの長い時間をスペインの人びとはバルをはしごして楽しむわけです。

  

バルでスペイン流の小粋な夜を過ごすなら、食前酒にはシェリー酒を選ぶと良いでしょう。 シェリー酒とはワインのことですが、アンダルシア地方のヘレス周辺でとれたものを「ヘレスのワイン」の意をこめてシェリー酒と呼んでいます。 カタルーニャ地方で作られるスパークリングワイン「カヴァ」も、フランスのシャンパンに負けない歴史があり、おすすめ。 また、夏の暑さが厳しいスペインでは赤ワインにフル-ツを漬けたサングリアもさっぱりと美味しくて人気です。そうこうしているうちに夜がふけてきたら、 ちょっとヘビーな蒸留酒「オルホ」を食後酒に。スペインでは、食後にお酒を飲みながら会話を楽しむことを、「テーブル越し」を意味する「ソブレメサ」といい、 深夜までオープンしているバルは、この「ソブレメサ」にぴったりだといえます。